アフガニスタンの手織り絨毯
アフガニスタンの絨毯は、一般にアフガーン絨毯と呼ばれてきました。多民族国家であるアフガニスタンでは、各部族の母から娘へと織り技術や文様が伝えられ、なかでも古くから絨毯づくりの伝統を持つトルクメン族やバローチ族の絨毯が、アフガニスタンを代表する絨毯とされてきました。トルクメン族は、各部族が特有の紋章であるギュルと呼ばれる文様を織り継いできました。しかし、第2次大戦後、絨毯づくりの様相も徐々に変化します。伝統の文様ギュルは西欧の好みに合わせ、小さくなり、さまざまなデザインが導入されるようになってきました。そして戦乱の時代に突入し、戦争をテーマにした絨毯がつくられたり、難民キャンプで絨毯が織られたり、部族のやむを得ない移動で生産地もあいまいになるなど、アフガーン絨毯は混沌とした状況下にあるというのが現状なのでしょう。アフガーン絨毯は、一部にシルクで織られたものもありますが、ほとんどはたて糸、よこ糸、パイル糸すべてにウールを用いて織られているのが、ひとつの特徴とも言えるでしょう。部族民絨毯がもつ素朴な味わいと独特の幾何学文様が、西欧の愛好家の間では高い人気を博しています。
多民族国家として知られるアフガニスタンには、パシュトゥーン族をはじめ、タージク、ウズベク、ハザーラ、トルクメン、バルーチなど、20余をこえる民族が居住しています。これらの民族は、いずれも絨毯づくりに長けており、アフガニスタンは、他に類を見ない…多様な絨毯の宝庫となっています。今回、出品させて頂く絨毯(現地で購入した絨毯)は、これまで我が国では、ほとんどご紹介されることのなかった…この多様なアフガンの手織り絨毯を集めたもので、織られてから、すでに20年以上経ていると見られるセミオールドの絨毯も、数多く含まれています。これらは、戦争の後遺症に苦しむアフガンの人々が、困窮する生活の糧として、自家用の絨毯を売り払ったものではないかと思われ、中には、補修した跡の残る絨毯もあり、長い内戦を乗り越えてきた人々の、様々な思いが伝わってくるようです。






