南ペルシア遊牧民
遊牧民の家族
南ペルシア・ザークロス山麓にて
遊牧民の母娘
仔山羊を抱く遊牧民の子ども
イラン全土の遊牧民は1988年調査で、96の部族(tribe)、547の氏族(clan)、約115万人の人口でした。1991年調査による居住地不定者は約36万人で、調査基準は異なりますが、遊牧人口は減少の一途を辿っているようです。南ペルシアのギャッベと関係のある遊牧民は、ロル族、バフティヤーリー族、ガシュガーイー族、ハムセ連合などです。現在、ギャッベ絨毯のほとんどは、ガシュガーイー族によって織られています。また、これらの遊牧民は、ギャッベ(ギャベ)のほかにキリムやさまざまな平織りの敷物もつくっています。
上へ戻る●ロル族
ロレスターン地方を中心に南ザーグロス山系一帯に居住する、半遊牧および定住民族です。民族の起源は諸説があり、一説には7世紀アラブ侵入後しばらくしてこの地に移動してきたクルド族に由来するといわれています。ペルシア語方言のロル語を話し、古くはロレ・ボゾルグ(大ロル)とロレ・クーチェク(小ロル)にわかれ、大ロル族はさらにバフティヤーリー族、ボイェル・アフマド族、ママサニー族など多くの支族にわかれています。
上へ戻る●バフティヤーリー族
バフティヤーリーは、ロル族の中の比較的大きな支族ですが、エスファハーン州とフーゼスターン州の間にあるチャハール・マハール&バフティヤーリー地方に居住し、チャハール・マハール谷を中心とするこの地域でつくられる絨毯の代名詞ともなっています。ハフト・ラングとチャハール・ラングの2つのセクションにわかれ、さらにハフト・ラングに属するドゥラーキーのような支族にわかれています。
上へ戻る●ハムセ連合
ハムセとは、アラビア語で「5つ一緒に」の意で、アラブ系のアラブ、アラブ系でペルシア語を話すバーセリー(あるいはバッセリー)、トルコ系のアーイーネルー、バハールルー、トルコ系とロル系の混合であるナファルの5つの部族連合体です。19世紀半ば、ガージャール朝のファールス州総督だったガヴァーム一族が、当時ガージャール朝に抵抗姿勢を示していたガシュガーイー族の連合体に対抗するためシャーや英国の要請により結成したものです。
上へ戻る●ガシュガーイ族
ガシュガーイーは、アゼルバイジャン語に近いトルコ語方言を話すトルコ系遊牧民です。彼らは13世紀モンゴルの襲来を避けるため北方からファールス地方へと逃れてきたセルジュークの生き残りだといわれています。ガシュガーイーという言葉の由来は諸説あり、トルコ語の動詞「カチュマク=逃げる」からきているとも、シャー・アッバースによってファールス地方の部族の管理を委託されたジャーニー・アガー・ガシュガーイーの名に由来するともいわれています。
上へ戻る●ガシュガーイ族の支族
● カシュクーリー
大きくはカシュクーリー・ボゾルグとカシュクーリー・クーチェクにわかれ、約60のグループがある。
絨毯づくりにおいては重要な位置を占め、良質の絨毯をつくることで知られる。
● シェシュボルーキー
ガシュガーイーの中では最も多く絨毯をつくる支族。6つ(シェシュ)の地区(ボルーク)から来たことより、この名がある。20の大きなグループと20の小さなグループにわかれる。
● アマレ
アマレとは働く人を指し、古くから族長一族、またその親衛部隊の氏族として知られる。約50のグループにわかれ、良質のガシュガーイー絨毯、ギャッベ、キリムをつくる。
● ダッレシューリー
ダッリシューリーのダッレは谷、シュールは塩で「塩の谷」を意味する。約40のグループにわかれ、つくる染織品はギャッベやキリムが中心。
● サフィーハーニー
ロレスターンから移動してきた支族といわれ、その起源は不明である。良質のガシュガーイー絨毯をつくることで知られる。
● ラヒームルー(ラヒーミー)
部族として独立していないが、サフィーハーニーの中に混在している。絨毯はつくっているが、あまり良質とはいえないようである。
● エグダール
かつてオグズ族の中の23あった支族のひとつといわれる。古くから族長のための絨毯をつくる支族として知られており、アマレ族の1セクトとして扱われることもある。
● チャガニー
2つのグループからなるが、部族として独立しているとは言い難い。アマレ族の中に紛れ込み、夏営地・冬営地ともにアマレ族と一緒に移動する。


