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ギャッベができるまで1 ギャッベができるまで2
1.紡ぐ
2.染める
3.織る
4.仕上げる
ギャッベができるまで3

1.紡ぐ  spinning

糸を紡ぐ遊牧民の女性1

糸を紡ぐ遊牧民の女性

糸を紡ぐ遊牧民の女性2

糸を紡ぐ遊牧民の女性

ギャッベ(ギャベ)の故郷は、南ザーグロス山系一帯です。夏は涼しい山の中腹でテントを張った夏営地を拠点に羊に草をはませ、冬は山を下りて暖かい場所に移動するという移牧生活の中でギャッベの絨毯は織られています。ギャッベの絨毯づくりは、まず、この大自然の中で羊を育てることから始まります。自分たちが飼っている羊の毛を刈取り、絨毯の原料となるウールの糸に紡いでいきます。carding梳く(すく)―spinning紡ぐ(つむぐ)―plying撚る(よる)、この作業で毛糸が完成されます。刈り取った原毛は、まず繊維をほぐすために、手か櫛のような毛すき道具を使って梳かれます。そして紡錘(つむ)を使って手で紡いでいきます。紡錘は紡錘車とも呼ばれ、先が細くなった木製か鉄製の棒と弾み車という2対の翼のようなものからなっています。これを回転させながら地面につくまでの間に羊毛繊維をねじり引き伸ばすことによって糸にします。紡がれた糸は次に撚られて強度をつけます。一人の女性が紡ぐ標準的な量は、一日に約150グラムといわれています。紡ぎ終えた羊毛すなわち毛糸は、次にさまざまな色に染められます。染めの工程は複雑で、技術と経験を要する作業となります。かつてはそれぞれの遊牧テントで染められていましたが、需要の増加と安定した品質の商品供給から、いまでは染め工場でまとめて染色が行われるようになりました。各家族から集められた毛糸は、工場で選別され等級に分けて保管されます。

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2.染める  dyeing

糸を染める遊牧民の女性

糸を染める遊牧民の女性
遊牧民が紡いだ糸は集荷され、町の染め工場で染色されるのが一般となっている。この写真は、撮影のため特別に実演していただいたもの。

ギャッベに用いられている天然染料

ギャッベに用いられている天然染料

染め工場での作業風景

染め工場での作業風景

染め工場では、大きな電熱容器を用いて染色が行われます。設備は近代的になりましたが、使用される染料は地元で採取された野生植物が中心で、幾世代も受け継がれてきた職人の経験と勘がギャッベ独特の色出しの決め手です。まず容器に水が張られ、温度をあげてから近くの山で採掘された鉱物を砕いて投入します。こうして天然の酸でウールが染まり易いように下準備をしてから、さまざまな天然染料を用いて染色が行われます。温度、染色時間、染料の分量、微妙なコントロールはすべて染色責任者の経験と判断に委ねられています。ギャッベ特有の力強く明朗なトルコ石グリーンは、前もってインジゴでしっかりブルーに染められた羊毛を近くの山で採取された潅木からとれる黄色の染料でたっぷり一昼夜染めて仕上げられます。濃密で鮮やかな赤は、茜といろんな染料をミックスして二度染めすることによって生まれます。あの深いチョコレート・ブラウンはウォールナットの外皮から、ゴールドがかった黄は、ザクロの皮から、暖かい赤みがかったブラウンは茜とウォールナットの絶妙な配合らよって生みだされます。染められた毛糸は十分にすすぎ洗いされ、日干しされた後、再び遊牧テントへと送り返されます。







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3.織る  weaving

ギャッベを織る女性1

ギャッベを織る女性

ギャッベを織る女性2

ギャッベを織る女性

遊牧民が使用する織り機は、都市や村でみかける直立した竪機(たてばた)とは異なり、地機あるいは水平機と呼ばれる地面に設置されるタイプのものです。本来は木でつくられているものですが、今では歪みが少なく、運搬もトラックが利用されるようになったことなどから、スティール・パイプが枠組みに使用されることが多くなってきました。この織り機に、まず経糸(たていと)が張られます。絨毯の経糸には、木綿糸や絹糸が使われることもありますが、ギャッベは昔ながらにウールの糸が使用されています。この経糸に最初、緯糸(よこいと)が通され、織り組織をつくっていきます。この平織り部分はキリム部と呼ばれ、絨毯の始めと終わりに少しだけあらわれます。そのあと絨毯特有のパイル部分が織られていきます。絨毯の織り方には大きく2通りあり、左右対称結び(トルコ結び、あるいはギオルデス結び)と左右非対称結び(ペルシア結び、あるいはセンネ結び)で、ガシュガーイー族が織るギャッベは、左右対称結びとなっています。1本の色糸を絡ませ、ナイフで切り、ひとつの結び(knotノット)をつくります。文様の変わり目で違う色糸を絡ませます。この結びが横一列分仕上がると櫛のような緯打具で打ち固めます。続いて緯糸を通し、再び打ち固めます。これでパイル部が一列だけ仕上がったことになります。この作業(knotting and weaving)を繰り返すことが織りの主要な工程で、1枚の絨毯が織りあがるには何ヵ月もの時間がかかります。終わりのキリム部を仕上ると、織り機から絨毯を両端の経糸を残して切り離します。端の経糸部分は編んで房に仕上げ、緯糸が解けてこないようにして絨毯はできあがります。

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4.仕上げる  finishing

ギャッベの水洗い風景

ギャッベの水洗い風景

ギャッベのシアリング

ギャッベのシアリング

織りあがった絨毯は、集積センターに集められます。ここで検品と洗浄、仕上げが行われます。絨毯はまず採寸され、瑕疵がないかチェックされて品質基準に達しないものははねられます。ここで絨毯には固有の番号がふりあてられ、誰がいつ織ったかが登録され、どこの誰に売られたかもいずれ記録されることになります。チェックが済むと、洗浄と仕上げの工程にまわされます。まず、大きな機械で数ヶ月の織りの過程で蓄積したほこりやゴミを除去するために、はたかれます。次にガスの炎で余分な繊維を焼き去ります。硬いブラシで焼けこげなどが取り除かれた後、洗浄の工程へと移されます。洗浄は、傾斜のついた床の上に絨毯を置き、洗剤は使わず石けんのみで、男たちが鋤のような道具を振りかざし海兵隊さながらに威勢よく汚れをコスリ出し、大量の水で洗い流していきます。洗われてぐしょぐしょになった絨毯は、大きな高速回転の乾燥装置で一気に水を飛ばしてしまい、天日で自然乾燥させます。通常だと水分が放置されると羊毛を傷めることになりますが、イランの乾燥した大気の中だからこそできる洗浄方法なのです。乾燥の途中で再度採寸され、異常な伸縮による歪みをチェックして、熟練した職人が矯正しながら乾燥を続けます。最終的に40度の温度を保つヒーターとファンの設置された空間で乾燥を終了させます。最後に、ギャッベのパイルの厚み1.5cmとなるよう毛羽の刈り込み(shearingシアリング)を行います。織りの段階でもはさみなどによる毛羽の刈り込みは幾度も行われますが、最終仕上げのここで刈り込みをしくじれば、これまでの労力はすべて水泡に帰すという非常に重要な作業です。このほか必要に応じて補修をおこなうこともありますし、房のトリミングなどの細かい作業を経てギャッベは完成されます。

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